世の中に聖人と呼ばれる人がいます。釈迦であったり、キリストであったり、孔氏であったりしますが、多くは遠い過去の神秘的な人というイメージではないでしょうか。そういった聖人も我々と同じ人間だと思いたいのですが、あまりに神格化されすぎているためか、とても追いつけない存在となってしまい、それがかえって聖人たちを敬遠する理由になってしまうことも少なくありません。
　しかしこの本が扱っている黒住宗忠という人は、どこにでもいそうな普通の感じの方です。そしてこの黒住宗忠が大悟に至ったきっかけとは「親孝行」。そしてこの地球に住まう生物、萬物に必要不可欠な太陽こそが究極の親であるということに思い至り、黒住宗忠の道は瞬く間に開けていき、そして多くの人々の病気を治したり、生きる勇気を与える日々が始まりました。本書を読んで老いますと、数多くの奇蹟を起こしながらも、本人はそれが当たり前かのごとく淡々笑顔を絶やさない姿がとても印象的で、しかも壁のない親しみを感じさせてくれます。この壁のなさが黒住宗忠の真骨頂であり、それゆに、凡人である自分もまた、この境地に達することができたらいいなぁという希望を感じさせてくれます。しかも黒住宗忠が生きた時代は、キリストや釈迦のような２０００年前という時代ではなく、長い人類の歴史からいったら最近と言っても良い江戸時代末期。それほど遠くもない時代に、このような人が生きていたこともまた、親しみを感じる所以であります。　
　日々の何気ないことへの感謝、太陽への感謝などごくごく簡単なことではありますが、なかなかできない真理の実践を伝えてくれる好著です。

本書のデータ

著者のご紹介

著者のその他の著書

『決定版・神社開運法』　たま出版
『超カンタン神社ヒーリング』　たま出版
『バージョンアップ版神社ヒーリング』　たま出版
『神々の聖地』　たま出版
『バージョンアップ版古神道の行法と結界』　BABジャパン
『時霊からの警鐘』　コボリ出版
『光の東京大結界』　コボリ出版

参考文献

『黒住宗忠』　原敬吾　吉川弘文館
『生命のおしえ　黒住宗忠』　村上重良校注　平凡社
『黒住宗忠伝』　延原大川著　龍宿山房
『宗忠さま』　延原大川著　龍宿山房
『孝明天皇と宗忠神社』　真弓常忠　京都神楽岡・宗忠神社
『黒住宗忠伝』　牧巻次郎著　黒住宗忠伝発行所
『基督教の観たる黒住教の真理』　海老名弾正草案　黒住教研究資料一
『おみちびき』　黒住宗晴　黒住教本部
『黒住教教典抄』　黒住教教範編纂委員会　黒住教日新社
『聖書』　日本聖書協会
『英和対照新約聖書』　日本聖書刊行会　いのちのことば社
『世界宗教史』　Ⅰ、Ⅱ　ミルチア・エリアーデ著　荒木美智雄・中村恭子・松村一男・島田裕巳・柴田史子訳　筑摩書房
『世界神話辞典』　アーサー・コッテル、左近司祥子、宮元啓一、瀬戸井厚子、伊藤克己、山口拓夢、左近司彩子　柏書房
『サムライマインド』　森本哲郎　PHP研究所
『近代日本霊異實録』　笠井鎮夫　山雅房
『ヨーガに生きる　中村天風とカリアッパ師の歩み』　おおいみつる　春秋社
『中村天風「勝ちぐせ」のセオリー』　鈴村進　三笠書房
『運命を拓く』　中村天風　講談社
『日本神人伝』　不二龍彦　学習研究所
『伝習録』　安岡正篤　明徳出版社
『日本「宗教」総覧』　歴史読本特別増刊　新人物往来社
『生き神の思想史』　小沢浩　岩波書店
『古神道の秘術』　別冊歴史読本臨時増刊18　新人物往来社
『純朴の心』　五井昌久　白光真宏会出版部
『禊教教典井上正鐵神御文書』　禊教教典研究所　エミターメ
『生命の実相　第7巻』　谷口雅春　日本教文社
『良寛入門』　栗田勇　祥伝社
『天理教・存命の教祖中山みき』　濱田泰三　講談社
『妙好人随聞』　楠恭　光雲社
『真説・陽明学入門』　林田明大　三五館
『「太陽」を解読する』　坂田俊文　情報センター出版局
『古神道は甦る』　菅田正昭　たま出版